本当にありそうで怖そうな怖くはない話
これは私が大学4年生の頃の話です。
テキサスから帰ってきた暑い夏の日のことでした。
テキサスも暑いけど日本の夏はひどい。テキサスは暑いけど乾燥してるのでわりと過ごしやすい。でも日本は湿度が高くてもういやになっちゃうわよ〜〜本当。
そんな気候の話はどうでもいいんです。
その日の夜、バイトを終え、家に帰ると手紙が届いていました。
「こんな時代に手紙なんて珍しい。誰からだろう?」と差出人を見てみると高校卒業と同時に別れた元恋人からでした。
「えらい懐かしい人から手紙やな〜!」
そう思ったのと同時に「あれ…?なんでこの住所知ってるんだ…?」と思ったのです。
元恋人とは別れてから連絡は一切取っておらず、どこの大学に行くのか等すら教えてません。誰かから聞いたんだろうか…
そうは言っても大学生です。人生の夏休みを絶賛謳歌してる輩です。
怖いものなんて何もありません。ひとまず手紙を読んでみようと開封してみると
『お か え り』
赤い字でただそれだけが書かれていました。
待て待て待て待てちょっと待て。
怖いものなんか何もなかった私にもこの瞬間怖いものができました。
ただ誰かのいたずらだろうとも思い、一旦見なかったことにして寝ようと布団に入りました。すると…
『prrrrrrrrrrrr』
突然携帯に着信があったのです。
誰からかと思って見ると非通知。
一瞬元恋人のことが脳裏によぎります。いや、でもそんなまさか…
そのまま出ても怖いし疲れてた私は無視することに決めました。
ただその後も非通知での着信は鳴り止むことはありません。
30分くらい着信音が鳴り続き我慢の限界に達した私は電源を切りました。
「はぁ…これでようやく落ち着いて寝られる…」
そう思ったのも束の間
『prrrrrrrrrrrr』
電源を切ったはずの携帯が再び鳴り始めたのです。
しつこい!!!!!!!!
普段温厚な私も流石にキレました。
昼寝を邪魔された流川ばりにキレました。
電源が勝手についたことなんかはどうでもよくなり、これは説教事案だと思い電話に出ることにします。
「おい、誰か知らんけどなんなんさっきから。ふざけるのも大概にせえよ」
『もしもし、私やけどごめんね。でもおかえり』
「は?おかえりって何よ」
『ふふ、私が今どこにいるかわかる?』
「知らん。ふざけるな」
そう言って玄関に行きドアを勢いよく開けるもそこには誰もいません。
(なんなん誰もおらんやん…よかった…)
私をビビらそうと思って言ってきてるだけなのかと思い
「まじでなんのつもり?」と聞いてみると
『そっちじゃないよ、ふふふ…』
その瞬間、リビングの方で物音がしました。
急いでリビングへ向かうとベランダで黒い影のようなものが動いたように見えました。
勢いよく窓を開けてみてもやはりそこには誰もいません。
『そっちでもないよ…ふふふ…早くわたしを見つけて?』
「全然おもしろくないしいい加減にしろ!!」そう言って電話を切ります。
やっぱりもう寝よう。
寝室に向かい、ベッドに入ると
『やっと捕まえた…もう私からは逃げられないから…』
テキサスのくだり以外嘘です